テント倉庫のメリット・デメリットとは

今回はテント倉庫を建てる前に知っておきたい業界ならではの豆知識をご紹介します。 テント倉庫はサイズだけ決めればいいと思われがちですが、様々な形やオプションがございます。そのほか、テント倉庫に関する法律や、メリット・デメリットもご紹介します。

テント倉庫の形・サイズ・使用目的

『テント倉庫』は形、サイズ、使用目的が法律で制限されています。 「平成14年国土交通省告示第667号テント倉庫建築物の構造方法に関する安全上必要な技術的基準を定める件」という法律です。ここからはテント倉庫の形・サイズ・使用目的について詳細を解説していきます。

テント倉庫の形

テント倉庫は主に3種類の屋根の形があります。場所や用途に合わせて建築できます。また、屋根と四方の側面の全てが壁になっています。出入口や窓などはオプションで付けることが可能です。

●切妻型
●片流れ型
●円弧型

●切妻型
切妻屋根とは、同じ長さ・同じ角度の屋根が三角形につけられた最もスタンダードな形状の屋根です。テント倉庫メーカーで扱うテント倉庫の約8割が切妻屋根です。

●片流れ型
片流れ型テント倉庫とは。テント倉庫の中では最も特徴的な形の片流れ型。雨や雪を片方に流すことができるので、人が通る通路などを避けられ快適に使えます。

●円弧型
屋根の形状が円弧になっているものです。円弧型テント倉庫は近未来的で、スタイリッシュな外観が特徴です。 桁上(軒より上の部分)の寸法を大きく取れない場合や、テント倉庫の高さをを最小限に留めたい場合に有効です。

一言にテント倉庫といっても様々な形状があります。
用途に応じて最適なテントの形状を選択することが必要となります。

テント倉庫のサイズ

テント倉庫(ここでは667号の条件に当てはまるものを指します)のサイズで注意する点は以下の通りです。

  • 広さ 1000㎡以下
  • 高さ 5m以下(テントの肩口までの高さ)
  • 間口 30m以下

テント倉庫の規格からは外れてしまいますが、上記よりも大型のテント倉庫を建築することも可能です。

テント倉庫の使用目的

テント倉庫はその名の通り『テント倉庫』なので使用目的は倉庫となります。 テントの中で「作業をする」、「スポーツをする」ということは法律上の『テント倉庫』から逸れてしまいます。「テント内で人が活動するという建物」であれば、構造の強度を上げたり、火災時の避難を考慮する必要があり、換気にも配慮しなければならなくなります。となると、『テント倉庫』で安全上必要な技術的基準を定めた法律の範囲を超えてしまうことになります。

まとめるとテント倉庫は

屋根の形・切妻
・片流れ
・円弧
サイズ1000㎡以下の平屋建て、軒の高さ5m以下、間口30m以下
使用目的倉庫
構造・屋根と四方の側面のすべてが壁になっていること
・膜材料で覆い、鉄骨造りの骨組で建てられるもの

そんなテント倉庫にメリットはあるの?

①工期が短い

テント倉庫は基本的な工程が、基礎工事、鉄骨組立工事、生地張り工事というものなので、一般建築と比べ施工期間が短くなります。
また、テント倉庫には構造適合性判定が必要ないため、物件の大小により異なりますが着工から完成まで最短2か月程度です。

②費用が安い

テント倉庫は一般的な本建築に比べシンプルな構造・軽量素材なので、少人数で施工でき、人件費を抑えられます。加えて、基礎工事のボリュームの削減、合理的な構造で済む点から、初期費用を安く抑えることができるのです。

③敷地の自由度が高い

テント倉庫は三角形といったいびつな敷地、奥に長い長方形地、といった変形地でも設置が可能です。ご希望やご要望をオプションにて組み合わせて快適な環境と空間を創出することが可能です。

④照明が不要

テント倉庫を新設する際、透光性の高い生地にすれば、日中は室内照明が必要ないほどの明るさがあります。
また、テント倉庫の壁面や屋根の一部を透明の明り取り仕様シートに変えることもできます。

そんな「テント倉庫」にもデメリットはあります。

①テント倉庫の生地の劣化・破損

テント倉庫の生地は太陽光、紫外線、外環境によって劣化します。10年を目安に張替えをご検討ください。また、物が当たって破れてしまう、外部から侵入目的で切り裂いてしまうといったことに弱い面があります。
経年劣化や荒天でシートが傷んだ場合、シート張替えを行えば新品同様に使用できます。また、屋根は壁面に比べて劣化しやすく、落下物による損傷が多い部分です。屋根のみ・汚れや破れのある部分のみの張替えも承ります。

②テント倉庫の中は・・・

テント倉庫の室内は夏場は暑く、逆に冬場は寒くなります。換気設備(ベンチレーター)をつけることは可能です。ベンチレーターとは、テント倉庫内を換気するための装置です。

③気候によっては

外気内気の寒暖差や季節によってはテント倉庫内部に結露が発生し、倉庫収納物に悪影響がでる場合があります。 内膜を張る、換気設備をつけるといった対策を考えます。

まとめ

いかがでしたでしょうか?一口に『テント倉庫』といっても、いろいろな制約があり事前に考えておかなければならないことが少なくないです。メリットもデメリットもご理解いただいたうえでご検討いただきたいと思います。

この記事を書いたのは:
小出 純

小出 純の記事一覧